Just me talking to myself.

  • 2018.02.20 Tuesday
  • 22:02






好きだから孤独なのではなく、孤独だから好きになるのだと思う。


孤独は、人に生まれつき備わっている病みたいなものだけど

その処方箋は、自分で見付けるしかない。




夜の終わりと朝の始まり

  • 2018.02.20 Tuesday
  • 19:30





暗い夜の闇が

徐々にうす青く染まり始めるころ。


辺りはしんと静まり返り、現実味をおびない。


その怖いほどに澄んだ空気は

私の肺を通ったあとで、白く生まれ変わった。



夜の終わりと、朝の始まりのあいだに。


夢のうつつと、日常の確かさのはざまで。




結婚前夜5〈キミカ〉

  • 2018.02.19 Monday
  • 20:55






「もしかして。

さっきの人が、タカフミさんですか?

キミカさんの短大時代の恋人。」


となりを歩く栗尾くんが、私を見下ろしながら聞く。

栗尾くんはひょろひょろって感じに背が高くて。

身長のある私も、彼と話すときは見上げなくちゃならない。


バーを出た私たちは、繁華街のなかを、のらりくらりと歩いてる。

これは、私のせい。

考えながらだから、歩みもカメみたいに遅い。

私も栗尾くんも、一杯飲んだだけで店を出てしまった。

これも、私のせい。


「どうして、タカフミだって思うの?」


私は眉をひそめて栗尾くんを見る。


「だってキミカさん。

僕が店に来たのも気付かないほど、あの人に目を奪われていたから。

僕はあんなキミカさん初めて見たし、よっぽど重要な人なんだな、と。

動揺はしてるけど、恐怖からではない。


キミカさんの過去の話のなかで

そんな男性はタカフミさんだけだと思ったんです。

僕が聞いたかぎり。」


「…ふぅん。

栗尾くんて、たまにイヤなやつになるよね。

呼び出しといて早々にお店を出ちゃったこと。

謝ろうと思ったけど、やっぱりやーめた!」


私の言葉に彼は、「すみません」と笑った。


「うそうそ、いいの。

当たってるから、恥ずかしくなっただけ。

ほんと、びっくりした。

もう会うことはないと思ってたから。」


私も笑ってそう返した。

栗尾くんは、私をジッと見つめながら言う。


「それで。

となりの女性は、お友達のヒナコさんじゃないんですね。」


「そう。

まったく、その通り。」



バーのカウンターで、タカフミと見つめ合うように視線を合わせたとき。

(それは、ほんの10秒ほどだったと思うけど、すごく長く感じた。)

タカフミの向こうどなりに、女の子がいることに気づいた。

私は一瞬、その女性をヒナコだと思った。

それくらいに、見た目が似ていたから。

小柄で、少しだけぽっちゃりした体型に

大きくて、ぱっちりとした瞳。


でも、その人はヒナコじゃなかった。

それで私はハッとしたように、タカフミから目をそらした。


「キミカ…だよね。」


タカフミも同じように、私から視線をはずす。

「ここで会うなんて…」と、そのあとにつぶやいて。


私は、完全に困惑していた。

ヒナコと私は、何年も連絡を取り合ってはいなかったけど。

共通の友達から、ふたりが2、3年前から一緒に暮らしていることを聞いていたから。


あれからふたりの状況が変わって別れたの?

それとも。

この女性とは、別になんでもない?


でも、タカフミの様子を見て、そうじゃないなぁと思う。

今のタカフミは落ち着きがなく、私以上に困惑していた。

となりの女性の存在を、私に知られたくないみたいだ。


女性のほうは女性のほうで、なんていうか…、挑戦的な目で私を見た。

ただの友達や仕事仲間の女性が、こんな風に知り合いらしき女を見たりしない。

彼女は、見た目はヒナコと似ていても、中身は正反対な感じ。

かなり勝ち気なタイプらしい。

自分の存在が無視されてるようなこの状況に

腹を立ててしまうのはしょうがない事だとしても。


そのとき、店に到着した栗尾くんが横に立っていたこと。

私はしばらく気づかないでいた。


「僕、はじの席に座りましょうか?」


栗尾くんは、私たちのあいだに座るのをためらったんだろう。

私は首を降ってから、タカフミにひと言だけ挨拶した。


「じゃあ…」と。


それからはもう、彼の方を見ることもしなかった。

栗尾くんと当たり障りのない会話をしていて。

けれど、女性がタカフミの肩にしなだれているのはわかったし。

タカフミは硬直していて、私とも彼女とも目を合わせないように

ただひたすらに前を向いていたこともわかった。



タカフミって、こんな人だったんだ…。

知らなかった。




「あっ、そうか!」


歩いてる栗尾くんが、なにかヒラメイタみたいな顔で言う。


「タカフミさんて、どこかで見た顔だと思ったんですよね。

そっか、体育教師に似てるんだ。」


「体育教師?」


「はい。

僕の田舎の中学の。

熱血がたの、なかなかいい先生でしたよ。

ジャージの似合う。」


田舎の中学の体育教師…。

たしかに。

タカフミって、そんな感じかも。


私はなんだかむしょうに可笑しくなってきて。

さっきまでの困惑や怒りも忘れたように、涙が出るほど笑ってしまった。

栗尾くんはそんな私にちょっと驚いて、でも、そのまま笑わせといてくれた。


たくさん笑ったあと、私は妙に静かな気持ちになる。


「…ヤになるなぁ。

もう、私とは関係のないことなのに。

ヒナコにしたって仲良くしてたのは2年くらいだし

タカフミはたった半年の付き合いだった。

なんだって、いまだにこんな…。」


栗尾くんは、いつもより優しげな声で言った。


「だけどキミカさん。

人の記憶に刻まれる強さって、時間じゃないと思います。

ヒナコさんとタカフミさんは、キミカさんにとって刻まれた人だった。


だから今夜も。なにかせずには、いられなかったんですね。」



私には関係のないこと。

なのに。

ほうっておけないお節介な自分。

気になる、どうしても。

何年も会ってないし、連絡も取っていない、友達のこと。




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