ささくれ短歌

  • 2018.09.09 Sunday
  • 16:43








夏の夜  駐車場のシマネコに

やなやついないか聞いてみた





つらたんて

呟くことでつらさ減る

ネットで見なくなった今でも





遠ざかる

ふとしたことで僕たちも

かもしれなくて今すぐ会いたい






アジフライはソースか醤油か

  • 2018.09.03 Monday
  • 19:43




アジフライはソースで食べるか、醤油で食べるか。

この悩ましい問題について、僕たちは日頃から死闘を繰り広げていた。


もちろん僕の所属するソース派が1番の派閥であって、ついで醤油派。

タルタルソース派やマヨネーズ派、ケチャップ派なども少数だけど存在している。


僕たちは手始めに、このマイノリティたちの撲滅に努めた。


タルタルソースを付けている奴を見つければ、即座に上に報告。

あとは上がなんとかしてくれる。

マヨネーズ派にもとくとくと説教し、それでも改めない場合は、法に触れない程度の攻撃を仕掛ける。

ケチャップ派なんてものは最初からごく少数だったので、ハブにすることで簡単に解決できた。


僕たちの絶え間ない努力のおかげで、少数のおかしなやつらを根絶することが出来たのだ。

いい気分だった。

やはり、正しい者が勝つ世の中でなくてはならない。


この時点でソース派が7割、醤油派が3割ということになった。

まだまだ、我々ソース派閥の努力とお互いのチームワークが大切な時期だ。



そんなとき、僕はある女性と恋に落ちた。

真面目な性格のわりに、ほのかな色気が漂う女の子だった。


しかしこの恋は、悲劇的な結果になる。

彼女は根っからの、「アジフライには醤油」な人だったのだ。

僕は彼女になんとか考えを変えてもらうように頑張ったつもりだけど、彼女の頑なな心は一ミリ足りとも動かない。

僕は泣く泣く、彼女とは別れることにしたのだ。


それに平行して、ソース派閥からお達しが出た。

これから我々は、あらゆる物にソースをかけるべきだという。

冷や奴にもソース、寿司にもソース、卵がけご飯にもソースだ。


上は、派閥の統制を強めたいんだろう。

僕らの忠誠心が試されている。

そう感じたからこそ、僕はこの命令に従った。

わがままを言ってチームワークを乱す人間は嫌いだ。

そんなお荷物だけはなるまいと思った。


しかしここで、ポツポツと醤油派に移行する仲間が出始めた。

最初は僕も、この事件について上に報告したし、彼らに我々のもとに戻るよう働きかけもした。

でもその数は段々と制御しきれなくなる。


こんな事態になって、上は僕たちを叱りつけた。

「お前らはなにをやっているんだ」と。

叱られている最中に、僕におかしな現象が起きた。

体がふわっと宙に浮く感覚だ。


「おかしくないか? 」


僕はソース派のために今日まで、どれだけの努力してきたか。

今考えれば、人としてどうかと思うような行いもしてきたし。

なにより、大好きだった女性とも別れたのだ。

それでなぜこんなに怒られなければならない?

褒められて当然だよね。

だいたい上が僕らに何をしてくれたと言うんだ。



僕は醤油派になることに決めた。

醤油だっておかしくない。

上等じゃないか。

だけど困ったことに、醤油の派閥から反発をくらう。

今まで率先して醤油派を攻撃してきた僕を受け入れるのを、大多数の醤油派の人間が拒否したのだ。


どうしてなんだ?

こんなの平等じゃないし、僕が悪いんじゃない。

上からの命令でやっただけなのに。

なんで僕が攻められなきゃならないんだよ… 。


こうして僕の周りからは、誰もいなくなった。

今さらソース派にも戻れない。

孤独にたえられなくなった頃、話しかけてくる男がいた。


「君、ソース派の人だよね? 」


彼が誰だったか思い出すのに数分かかった。

昔、僕が根絶に努めたケチャップ派のひとりだったのだ。


「噂は聞いてるよ。大変だったね。」


彼はそう言って笑うと、僕を手招きした。

彼のあとにおずおずと付いていくと、古いアパートの一室にたどり着く。

そこには数人の男女がいたけど、彼らが僕に声をかけてくることはなかった。

歓迎されている風でもないが、出ていけということもない。


僕をアパートに招いた男が、キッチンから出て来る。

手にアジフライが乗った皿を携えて。



「食べてみて。」


僕は皿を受けとると、しばらくその揚げたてのアジフライを見詰める。

男の方に視線を向けると、彼はただ楽しそうに笑っているだけだった。

おもむろに口に運ぶ。


「どうかな?  ソースとケチャップを混ぜ合わせてみたんだ。

結構イケると思わないか? 」


そうか。

これはケチャップとソースを会わせた味なのか。

なぜか僕の目からは、ポロポロと涙が溢れてきた。

男はそれについて何も言わなかったが、部屋の中の空気は、ほんの少しだけ温かくなったような気がした。


… ああ、悪くない。

悪くない味だ。






いつのことだろう。

  • 2018.09.01 Saturday
  • 17:00







ねぇ。

人は必ず死ぬことを知ったのっていくつのときだった?

それを、当たり前だと思えるようになったのはいつのことだろう。



ねぇ。

この世は不平等だと知ったのは、いくつのときだった?

みんなが平等な世界なんて成り立つわけないと、悟ったのはいつのことだろう。



ねぇ。

世の中お金だと、最初に感じたのはいくつのときだった?

「お金じゃない」と言う人を、キレイゴトだと笑ったのはいつのことだろう。




人はいつか死ぬのだから、いちいち悲しんでいられないとか。

不平等な世の中を受け入れるのが大人だとか。

お金さえあれば幸せになれるとか。

そんな風に結論づけて、安心していられたのはいつまでだったろう。




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