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    水中

    • 2018.01.31 Wednesday
    • 19:12






    わたしはたまらず   水にすべり込む



    高い位置から飛んだのにもかかわらず

    水面はしぶきをあげたり  音をたてることもない




    体中の力をふりしぼり  水をかきわける


    水はわたしに抵抗するし  受け入れもする


    ぐいぐいと    深いところまで潜ってゆく





    やがて底に着き  あお向けで地上の光を見つめる


    さっきまでいた世界が

    水中からは違って見えることに気づく


    ただただ美しく  でもそれだけだ

    複雑にうつっていたものが  ひどくシンプルに感じる



    頭の中ではなぜか

    遠い昔に聞いたパイプオルガンの音が鳴っていた

    それはゆっくりと

    しだいにはげしく

    からだ全体を    ゆさぶるように





    完全に意識を失うまえ  わたしは決心した


    すべての力をふりしぼり   水をかきわける

    体がミシミシと音をたててもかまわない



    ぐんぐんと  光の中へ上昇してゆく



    シンプルかつ複雑な   あの美しい世界へ戻るために






    人生の勝敗

    • 2018.01.30 Tuesday
    • 00:15




    人生の勝敗?

    嫌な言葉だ。

    人生に勝ち負けなんてない。

    そうだよね?


    誰にもわからないし、キミ自身も知らなかったことだけど。

    あれは、キミの人生をかけた最後の戦いだった。


    それに気付いたときにはすでに、キミは敗者の烙印を押されていた。

    違うかな?

    スタートがきられたことも知らされず、

    「はーい、あなたはここで終わりですよ。」

    と肩をたたかれたマラソンランナーの気分にさせられた。


    スポーツはもちろんのこと。

    受験や就職、恋愛や結婚にだって勝敗はある。

    大学に落ちた受験生が

    「僕はここに通います。」と言い張ったってどうしようもないし

    フラれた人間が相手をしつこく付けまわせば

    いずれどこかしらのやっかいになるだろうしね。


    キミの戦いはこれらと関係があったかもしれないし、なかったかもしれない。

    どちらにしろ、人生の戦いに敗れたんだと自分自身で判断してしまったとき、人はどうすればいいんだろう。


    去るのみ?

    どこから?人生から?

    それではあまりに極端すぎる。

    良くないよ。

    ここにいればいい。

    人生は、負けたらサヨウナラなんてケチなものじゃない。

    敗者だってなんだっていい。

    図々しくたってさ。

    本当だよ。


    あっ、静かに。

    今、なにか聞こえなかった?

    スタートの合図だよ。

    走るかどうかは自由さ、もちろん。








    夢の中でウサギにこんな風に言われたところで、私は目が覚めた。

    きっと根はいいウサギなんだろう。

    そんな気がする。





    平日午後、駅近くの道端で

    • 2018.01.29 Monday
    • 20:11




    平日の午後2時過ぎ

    駅近くの道端で、ひとりの女が泣いていた。


    なんでよ!なんでなの!


    そう叫びながら。



    通行人の視線を受けてもなお

    彼女は空をあおぎながら叫びつづける。


    なんでよ!なんでなの!




    もう10年以上前なのに

    鮮明に耳に残る彼女のせつない声。



    なんでよ

    なんでなの

    なんでよ

    なんでなの



    本当に、なんでなんだろうね。




    ある会話6〈ぼくのために〉

    • 2018.01.28 Sunday
    • 20:44






    「けっきょく。

    植物は自分のために生い茂り

    パン屋は自分のためにパンを焼くんだ。」



    「一一 なんの話よ。」


    「いやぁ… 。

    ここの公園は緑がきれいで、パン屋が近いって話さ。

    そうそう、これ誕生日プレゼント。」


    「まぁ、ありがとう。なにかしら? 」


    「ぼくがぼくのためにきみに選んだ

    羊の皮のバッグだよ。」



    「… よくわからないけど、プレゼントはうれしいわ。

    お昼ごはん、まだでしょ?

    お礼に、あの店のパンおごってあげる。」


    「いいね。

    焼きそばパンがうまいんだ、あそこは。」




    ある会話5〈両思い〉

    • 2018.01.27 Saturday
    • 22:42






    「どうしよう。りりちゃん。」


    「どうした?ららちゃん。」


    「好きな人が出来たみたい。」


    「へぇー。いいじゃない。」


    「ちがうの。

    好きなことに気付いたのは今日なのよ。

    『あれ?この人いいんじゃね?』って。

    だけど昨日まで気付かなかったわけだから、その人の前で可愛い女の子でいるのをおこたっていたんだよ。」


    「ああ。

    それで女として見られてないんだ。」


    「じゃなくて!

    彼からは前から好きって言われてたの。」


    「…ちょっとまって。

    よくわからないんだけどつまりさ。

    ららちゃんは彼に、ありのままの自分とやらを見せていた。」


    「うん。」


    「それは彼のことを男として見てなかったから。

    彼の方は、そんなららちゃんのことが好きだったのに。

    それが今日めでたく両思いになったと。」


    「そうなんだけど… 。」


    「その人、あまり良くない人なの?」


    「ううん、いい人。

    だから最初はなんとも思わなかった。」


    「なら、なにも困ることなんてないじゃん。

    幸せでしょ。」


    「そう?  

    たけど、すんなり溶け込めないのはなんでだろう。

    なんだかつまらないって言うか。

    こんなんでいいのって… 。」


    「ららちゃん… 。

    今までの恋愛遍歴が思考をおかしくしたのよ。

    思い出してごらん。

    幸せって浮かれていたときの現実を。」


    「…… わーお、ホントだ。」




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